・具体的な言葉での指示や視覚的支援は、発達障害のあるなしにかかわらず、どの子にも大変分かりやすいものだと思うので、実践していこうと思います。

  「通常の学級で気になる子どもと学びの難しさ」「学び方に特性のある子ども」「特別支援教育の視点からの授業づくり」と題した講義と、「子どものニーズに合わせた支援」についてのグループワークが行われました。
  講義の中では、障害者にかかわる法令等、国の施策の動向についても取り上げられました。また、子どもの気持ちやつまずき、学び方の特性を把握する際のポイントも話していただきました。「授業づくりチェック表」を使った演習は、自身の授業を振り返り、今後どのようなことに気をつけるとよいかを知る機会となりました。グループワークでは、個人の問題と環境の問題とに目を向けて、子どもの気持ちを想像しながら複数で意見を出し合うことを体験しました。子どもの視点に立って支援や配慮をした授業づくりについて学びました。

・「学校は、自己肯定感を育む教育機関である」という言葉に、今後の私の教員としてあるべき姿勢を見出すことができました。
・ケース会議の具体的手法を学ぶことができ、大変役に立ちました。また、学級担任として、安心できる学級集団を作っていくことが大切であることを、再確認できました。
・講義自体が、体験的理解と実用的理解を取り入れた授業のような構成で、「こうすれば納得できるのか」と感銘を受けました。
・授業づくりのヒントを学びたいと受講しましたが、その回答を得たように思いました。毎日の授業で考えていくべきことを、自分なりに考えることができました。
・わかる授業の仕方で、2学期から「板書」と「導入」を頑張ろうと思いました。
・発達障害の有無にかかわらず、個を大切にする支援というのは、クラスづくりのために、これからますます必要になると改めて感じました。

No.4   キャリア発達を育む授業づくり　　　　　　【終了】
　　　　　−児童生徒が地域社会で主体的に活動するための支援はどうあるべきか−

　午前中の講義では、富山大学人間発達科学部附属特別支援学校が「児童生徒が地域社会で主体的に活動するための支援はどうあるべきか」を研究テーマに、分かって動ける授業づくり、地域生活につながる授業づくり、そしてキャリア発達をうながす授業づくりへと研究実践を積み重ねてきた経緯をご紹介いただきました。その中で『参加』を高める4つの力として「実践力」「課題解決力」「協同力」「遂行力」を掲げていることなど、キャリア教育の考え方を学ぶことができました。
　午後は、小学部から高等部まで段階に応じた授業実践例をご紹介いただきました。動画で授業場面を見ることで、受講者の方々は具体的にイメージしながら聞くことができ、数多くのアイディアを持ち帰ることができました。

　管理職対象の本研修講座には、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の校長先生や教頭先生に多数参加していただきました。
　辻先生からは，まず御自身が大切にされていることばや教育理念についての紹介がありました。管理職になるにあたり「何になったかではなく、何をしたかが大切だ」と先輩に言われたエピソードや「管理職こそ、感性豊かなプロの教師であること」の大切さを語られました。
　また、特別支援教育は特別な教育ではなく、特別支援教育の理解は、「学力向上」のための視点であり、すべての教育の中で「子ども理解」「授業改善」「指導力アップ」に役立つものであるという話がありました。そのためにも、管理職の学級訪問により、教室環境や「授業力」のチェックが必要であると話されました。
　さらに、管理職の目配り・気配り・心配りについて、「特別支援学級」「就学指導」「交流及び共同学習」「センター的機能の活用」などについても、再度丁寧な解説がありました。常に、管理職として説明責任が伴うとのことでした。
　宮城県と福井県の違いにも触れていただきながら、再度、福井県の取組についても振り返る機会になりました。

・管理職としての特別支援教育の推進に対するキーワードがいくつも発見できまし
　た。
・特別支援教育のねらいの第１に「学力の向上」があったことを再認識しました。
　それぞれの子どもに向き合い、支援しながら、学力、共同、社会的自立への応援を
　していきたいと思いました。
・辻先生の特別支援教育にかける強い思いが穏やかな口調の中からひしひしと伝わ
　ってきました。また、丁寧なお話で大変わかりやすく、心にすとんと落ちました。
・現職の中で培ったアドバイスが多く、今後の特別支援教育の中で活用していきたいです。
・体系的に特別支援教育について語っていただき、特別支援教育を見直すとてもよ
　い機会となりました。
・特別支援教育の充実は、いずれ、全体の学力向上、心情の豊かさにつながってい
　くと感じました。今一度、自分の仕事を振り返り、学校全体の様子をよく見て、
　一人一人の子ども、教職員の笑顔を大切にしていきたいと思いました。

・吉田先生の講義では、とても分かりやすくお話をしていただき、福井県の現状や国の動向について詳しく知ることができてよかったです。
・特別支援教育の行政的な仕組みについて再確認することができました。自分で勉強しているだけではよく分からなかったことが具体例を含めて話があり、とても勉強になりました。
・県では事例集や個別支援計画のマニュアルの作成など、様々な取組をしていることが分かりました。
・松木先生のお話では、「教師は自己研鑽だけでは成長しない。同僚との語りと傾聴の中で絶えず自分の経験を省察し、再構成していくことで教師の専門性が身についていく」とあり、これまでの考えを揺さぶられるようでした。現場にいるだけでなく、このような研修を受けて自分の経験を組み立て直していきたいと思いました。
・「できないことを捉えて子どもに教えようとばかり思っていると、子どもが見えなくなる」という松木先生のことばで、私はできないことばかりに目を向けていることに気づきました。子どもの目線に立てていなかったのだと思います。生徒の学びたい、分かりたい思いを第一に考えなければいけないと思いました。
・松木先生のお話は最初から最後まで目からうろこで、心にずしんと響きました。目の前の子どもをもっともっと見て子どもとのかかわりを楽しんでいきたいと思います。

・発達障害の子どもたちと毎日接し、自分では子どもたちのことを理解しているつもりでいましたが、講義をお聞きして、発達障害の特性と特性に合わせた支援について改めて整理することができました。
・グループワークでは、多様な事例を聞いたり、自分の事例について相談したりできました。その後の原先生の助言をうかがい、自校の子どもへの支援について、いろいろな視点から解決のポイントを考えることができました。
・日頃どうしていいか悩んでいることについて、具体的に話したり、支援のしかたを教えていただくことができました。明日から取り組んでみようと思います。
・幼保、小、中、高までの幅広い事例を知ることができ、参考になりました。
・学校が相談する医療機関の先生のお話が聞けたり、グループ内に特別支援学校の先生がおられ、顔つなぎができたりしたことが、特別支援教育コーディネーターとして有意義でした。
・医療の視点には、子どもとかかわる上で大切な部分が多いと感じました。様々な機関の連携について、今後考えていく必要があると思いました。

○言語発達の道筋や吃音等の問題について
・吃音や発音についていろいろなことが学べた。吃音については自分が思っていたことが違うことを改めて学ぶことができた。
・コミュニケーションを支える人との関係性にまで言及していて役に立ちそうだ。
・発音の障害について広く解説していただき、入門としてとてもよかったと思う。
○グループワークについて
・自分自身が実際に行ってみることで、大きな気づきが与えられた。即実践につながると思った。
・グループワークは少し戸惑ったが、人とのやり取りは心地よく感じた。堅田先生の声のトーンも心地よく、話を聴くときは、声のトーンも大切だと感じた。
・カウンセリングのようなことを学べるとは予想外で、いい機会だった。相手から自分の聴き方についてアドバイスをもらえたことは貴重な体験だった。

 午前中は、「視機能評価と眼疾患による見えにくさの違い」についての講義があり、さまざまな視力検査や見え方についての説明がありました。次に教室で使える支援ツールや便利グッズとして、補助具だけでなく、使いやすい文房具やiPad、パソコンなどの紹介がありました。昼食時には、シュミレーションレンズを使用しながら食事をする、という「ロービジョン食事体験」で、見えにくさの実際を体験、理解することができました。
午後からは、環境設定と課題提示の工夫について、演習を交えながらの講義がありました。また、見えにくさをもつ子どもたちのために、プリント教材やテストをどのように修正するとよいか、教材作りの工夫について講義と演習を通して学びました。

 ・見えにくいことが学習に与える影響は大きいと分かりました。子どもと接する方法、課題の提示方法を考えていかなくてはいけないと思います。
・たくさんの教材や補助具を、実際に手に取って見ることができてよかったです。
・見えにくさと言ってもさまざまな違いがあり、困難さにも大きな差があることが分かりました。その子の実態をきちんと把握することの大切さを感じました。
・シュミレーションレンズを使うことで、見えにくさの大変さ、不安やストレスを、身をもって知ることができました。大変貴重な体験でした。
・子どもの行動の特徴から、その背景に見えにくさがあるのではないかという視点をもつことが必要だと思いました。
・視力検査で集中力が続かない子には、検査の距離を短くしたり、絵を使ったりして取り組めるようにしてみようと思います。
・見えにくさをもつ子どもたちへの支援は、発達障害の子や、通常学級で困っている子どもたちの支援にも十分活用できると思います。

　当日は、県内での取り組みの紹介として、（１）通常学級におけるデジタル教科書等の活用事例について、（２）通常学級におけるタブレット端末等の活用事例について，（３）特別支援学級におけるタブレット端末等の活用事例について、（４）肢体不自由がある児童生徒に対するＩＣＴの活用事例について、（５）重複障害がある児童生徒に対するＩＣＴの活用事例について、それぞれ実践発表をしていただきました。最後に、県教育庁高校教育課 特別支援・発達障害児教育グループ主任より、授業におけるＩＣＴ活用の効果と留意点について話がありました。

・子どもたちの関心を引きつけたり、楽しく学習に取り組めるような工夫がたくさんあり、とても参考になりました。ＩＣＴ機器は、使い方によって子どもたちの主体的な活動や笑顔を引き出すきっかけになるのだと思いました。
・「経験豊かな教員こそＩＣＴ活用ができる」という実践発表の先生の一言で、心も身体も軽やかになりました。熟年として頑張ります。
・タブレットに、学習に使えるアプリがこんなに豊富にあるとは思いませんでした。タブレットを授業で使ってみたいと思いました。
・タブレット端末は個人的に持っていましたが、授業での活用は考えていませんでした。実践発表から、通常学級での活用のヒントをいただきました。子どもたちの姿や様子に合わせて活用していくことが大切だと感じました。
・特別支援学級での具体的な指導場面での効果的な活用例が分かりやすく紹介され、「自分もやってみたい」という思いを新たにすることができました。
・ＩＣＴは新しい教材・教具としてたいへん有効な手段だと思いました。特別支援学級で、漢字の指導や計算などをより視覚的に提示することができ、指導したいポイントが明確になると思いました。
・子どもの身体的なハンディをＩＣＴを使って補いながら学習を進めていくことで、その子の持つ大きな可能性を引き出すことができると感じました。
・肢体不自由のお子さんであってもタブレット端末を利用することで活動の範囲が広がったり、可能性が広まることが分かり、とても有意義でした。
・重度重複のクラスを担当しているので、コミュニケーションツールとしてのｉＰａｄの活用がとても参考になりました。より分かりやすい授業ができるようになると思います。
・ｉＰａｄを使った校外学習の事前学習と振り返り、絵本の読み聞かせは、私も是非挑戦してみたいと思いました。

　高校教育課特別支援・発達障害児教育グループ主任より、教育支援委員会（文部科学省の報告より引用）の役割や就学相談に関する新しい視点についての説明がありました。また、当センター所員からは、就学相談を進めていくための基礎知識について講義を行いました。講義の後、教育支援委員の委嘱を受けた教員と保育士、特別支援学校教員のグループに分かれ、先生方同士で就学相談にかかわる疑問や日頃の悩みについて意見交換を行いました。
　就学相談に関する研修講座開講は２年目になりますが、今年度は、参加者が３倍に増え、教育支援委員の経験者の先生にも学び直しの機会として多く受講していただきました。半日の研修でしたが、教育支援委員や本人・保護者を支える園・学校の先生方のスキルアップにつながった会となりました。

・今年度初めて教育支援委員に委嘱を受けました。就学相談の流れや手続き、教育支援委員としての具体的な業務が分かったので、不安が少し解消しました。行動観察の観点が具体的で分かりやすかったです。
・保護者との面談をする際の留意点が分かりました。保護者の心情を理解した就学相談をしていきたいと思います。
・インクルーシブ教育の実現に向けたこれからの就学相談の在り方が分かり、大変参考になりました。
・就学相談を数年経験してきましたが、改めて確認やとらえ直しをすることができました。市町の就学相談をけん引していきたいと思います。
・知能検査の実技研修もあるとよいと思いました。
・保護者との面談について、講義や演習を通してさらにスキルアップを目指したいと思いました。

 当日は、特総研「交流及び共同学習推進指導者研究協議会」の内容と福井東特別支援学校の取り組みについて報告をいただいた後、県内での実践の紹介として、（１）特別支援学校（主に小学部）の取り組みについて、（２）小学校（特別支援学級と通常学級）の取り組みについて、それぞれ発表をしていただきました。最後に、県教育庁高校教育課　特別支援・発達障害児教育グループ主任より、交流及び共同学習の概要について話がありました。

 ・交流及び共同学習に関する全国的な動向を知ることができ、参考になりました。
・交流及び共同学習を実施するにあたり、他校の工夫や実践がとても役に立ちました。居住地校交流の前の出前授業や保護者を同行した相手校訪問、相手校の児童への評価など、今後ぜひやってみたいと思います。
・交流及び共同学習について、深く考えるよい機会となりました。情報を発信していくことの必要性を実感しました。
・交流を継続させること、地域に対して理解啓発を推進していくことを意識し、実践していきたいです。
・交流は、事前の準備が大変ですが、子どもに返ってくるものも大きいため、しっかり取り組んでいきたいです。
・交流とは校内交流ばかりを考えていましたが、小中交流や地域交流など、まだまだ実践できそうなものがあることを知り、２学期実践してみたいと思います。
・各校の実践を知ることで、ますます共生社会を形成することの重要性を感じました。自分の学校でも、障害理解授業をやってみたいと思います。
・グループ協議では、様々な学校の実践や悩み、課題などについて情報交換ができました。悩みを共有して話し合うことが、解決・解消への第一歩だと感じました。

　当日は園や学校、関係機関など様々な所属からの参加申し込みがあり、先生方が保護者との関係づくりについて熱心に学んでおられました。
　午前中は＜理論編＞として、障害のある子どもの相談において保護者がどのような気持ちで相談の場に臨んでおられるのかということについて、具体的な事例とともに説明していただきました。午後は、保護者との相談には支援者との「ずれ」があることを確認した後、小グループにわかれて、各々が保護者との相談について振り返り、話し合う演習を行いました。最後に、保護者を支える教育相談のあり方について、子どもへのかかわり方も含め、具体的な提案がありました。
　障害のある子どもの保護者には子ども受容（障害受容）の課題が終わりなく続いていること、障害の特性論と関係論、発達段階に応じた支援のめやす、「認知の地図」の考え方、「こういうときには～したら～なるのでは」という工作的発問による解決方法など、教育相談のヒントをたくさん教えていただきました。

・具体的な事例がたくさんあり、障害受容などの保護者の気持ちについて理解と整理ができました。自身の教育相談について見つめ直すよい機会となりました。
・演習では、保護者との相談に現れる『ずれ』について他校の先生方と具体的に話し合い、どのようなかかわりがよいのか考えることができました。
・『障害があっても何も失ってはいない』『親（支援）の目標は、最終的に親（支援者）より大切な人に渡し、子どもから自立すること』という玉井先生の言葉は、これからの子どもとのかかわりのみならず、自分のこれからの生き方にも大きく影響をもつ言葉になると思います。
・玉井先生のお話を聞きながら、現在かかわっている子どもや保護者のことが思い浮かび、今までの相談にこちら側の都合の押しつけの面はなかったかと反省しました。