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筑波大学附属小学校教諭 盛山隆雄先生から、子どもが主体的に考え、表現し、学び合う授業づくりについて、講義と演習をとおして学びました。午前は、盛山先生が授業の中で大切にしていらっしゃる「解釈の活動」「問い返し発問」を中心に、授業づくりの手法について知りました。盛山先生の授業では、子どもたちが自分の学びを言葉で表現する「解釈の活動」が軸になって学習が展開されます。子どもからそれらの気づきや思考を引き出すための発問が「問い返し発問」です。発問に対する子どもの反応など、授業の具体的なエピソードから、理解を深めることができました。
午後は、算数の授業場面を子どもの視点で追体験する演習をとおして、子どもたちを夢中にさせ、クラス全体を巻き込むアイディアや、一つの考えについて子どもたちがお互いを補いながら表現することで、理解を共有していく授業づくりについて学びました。盛山先生のお話の随所に、子どもへの温かいまなざしが感じられ、「子どもの内面を見る」姿勢が、ユニバーサルデザインの授業づくりの基本であることを改めて実感できた1日でした。
・子どもたちの知的好奇心を引き出す発問が、シンプルな問い返しだったことに驚きました。発問のタイミング、口調などが大切だということも分かりました。
・思考を途切れさせず、みんなの考えをつなげていくこと、型や枠を決めず、子どもなりの説明の仕方を大切にすることを心がけたいです。
・これまでは、教室環境を整えていくことがユニバーサルデザインだと思い込んでいました。学級の子ども全員を巻き込んでいく授業を展開し、子どもたちがつくり上げていく授業ができるようにしたいと強く感じました。
・子どもへの声かけ、役割の与え方など、参考になることがたくさんありました。子どもの表情をしっかり見取っていきたいです。
ノートルダム清心女子大学・青山新吾先生から、午前中は、子どもとの関係づくり、特別支援教育の視点での授業づくりについて、豊富なエピソードを交えながら講義をいただきました。子どもとの関係づくりでは、2つの段階があることを示されました。
それは、1段階目として、子どもの考え方を受け止めつつ、教師が受け入れられないと判断したことは上手に「言語化」して切り返し、指導できる「縦の関係」をつくる、次の段階として、お兄さん・お姉さん的な共感者としての「横の関係」をつくるという点でした。
また、午後のグループ協議では、3~4人のグループに分かれ、受講者同士で子どもと教師、子どもとその周囲の子どもとの関係についてエピソードを交えて語り合い、よりよい関係づくりを検討しました。
最後の具体的な授業実践事例からは、子ども同士が協力せざるを得ないしかけや校内を巻き込むしかけを、授業の中に盛り込むことが大切であることを学ぶことができました。
・青山先生の対応は、まさしく子どもとのキャッチボールだったので、すばらしいと思いました。
・特別支援教育の教員として、指導の技術や子どもに対する愛情だけではなく、その場その場の子どもの反応を読み取り、柔軟に対応していけるとよいと思いました。
・子どもとのエピソードの中から、関係づくりのヒントが得られるかもしれないので、日頃から子どもを観察する目を養いたいと思いました。
・自閉・情緒障害の生徒の指導が苦手だと感じていましたが、今回の研修講座を受講して、その指導に興味がわいてきました。
・グループ協議で、他校の先生方が子どもとかかわっている様子や、その中で生じてくる日頃の悩みなどを聞くことができてよかったです。
No.4 子どもの意欲を育てる授業の在り方(特支校) 【終了】
−学習のユニバーサルデザインと子どもの自己決定-
午前の講義では、「通常学級における特別支援教育」というテーマで、ユニバーサルから個別への段階的な対応や、インクルーシブ教育システムについて学びました。学習のユニバーサルデザインだけでは学習の理解が難しい子どもへの段階的な対応については、データや事例をもとにご説明いただきました。また、個別指導の具体的な方法について教えていただきました。当たり前の活動の大切さをいかに子どもに伝え、意欲を高めていくかということを学びました。
午後の前半の講義では、「発達障害への対応」について学びました。それぞれの特性に応じた対応について、具体的に教えていただきました。特に、将来に向けた自己理解の重要性、その過程や具体的な手法について学びました。後半の講義では、「知的障害の教育と授業づくり」について学びました。知的障害教育の目標や内容について、附属特別支援学校の実践を例に挙げながら、ご説明いただきました。また、今後の進路先に向けて、教科学習についても視野に入れる必要があることなどについても教えていただきました。また、特別支援学校のセンター的機能についても指針をいただきました。
・最近よく聞くインクルーシブ教育システム、合理的配慮等について、お話を聞いてよく理解できました。
・実践例と理論を交えた講義から、障害特性に応じた具体的な支援法を、たくさん学ぶことができて勉強になりました。
・「わかる」ことが意欲につながり、自己肯定感が高まるということがわかりました。
・意欲を高めるために、めあてを示し、自己評価をさせることについての重要性・必要性について考える機会になりました。
・特別支援学校の今後の方向性をお示しいただいた気がしました。
・本校に在籍している児童の理解に大変役立ちました。
・読み書きの困難さは、本人の努力不足から来るものではないことを再認識しました。
・講義をお聞きし、高校にも読み書きにつまずく生徒がいる現状が再確認できました。
「福井県の特別支援教育について」
所長からは、特に知的障害児教育を中心に講義がありました。特別支援教育の原点や特殊教育から特別支援教育への転換について,そしてインクルーシブ教育システム構築に向けた特別支援教育の今後について,海外の特別支援教育の話も交えながら,法的な根拠をもとに説明がありました。
「関係づくりが第一歩」
・講義1・2とも,自分がこれから教員生活を送る上で,とても意義のあるものだと感じました。
・特別支援教育のこれまでの流れや現在の状況を知り,考え方が変わりました。
・海外の特別支援教育について触れることができたのは貴重な体験でした。
・インクルーシブ教育の意味が,単に障害のある者とない者が同じ場で共に学ぶだけでなく,学習に参加している実感や達成感を味わうことが必要だと知り,大変勉強になりました。
・子ども達と向き合うにあたってのポイントとなる点や気をつけるべき点につい
て考えることができ,今後に活かしていきたいと思いました。
・私も保護者の気持ちに寄り添った話ができるようにしていきたいです。
臨床心理士の岡田眞子先生より、午前中は「気になる子どもとは」「発達障害の新たな枠組み」「B-PDCAによる見立てと手立て」の3つの内容で御講演をいただきました。
午後からは、異校種でメンバーを編成したグループに分かれて、ケースワークを行いました。高等学校段階でひきこもりになってしまった症例をもとに、これまでの子どもの育ちのエピソードから情報を整理し、どの時期にどんな支援があるとよかったか、具体的なプランを考えました。その後、4つのグループの報告を行い、全体で共有しました。
・子どもの得意なことを活かしながら支援につなげていくということの大切さを改めて感じることができました。
・発達支援に有効と言われていたPDCAサイクルにさらにB(見立てや子ども理解)を加えることで、しっかりとした支援計画ができていくことを確認できました。
・グループワークで様々な立場の先生方と話し合え、多くの情報や異なった視点を得ることができて有意義でした。
・クラスの具体的な子どもの姿を思い浮かべながら話を聞くことができました。今までの子どもに対する見方を変え、その子が何につまずいているのかを理解した上で、どんな支援が必要なのかを考えていこうと思いました。
午前の講義では、発達障害(主に自閉スペクトラム症)のある幼児期から児童期の障害特性や支援のあり方についてお聞きしました。周囲の人からは、単なるわがままに見える言動が、当事者にとっては、見え方や聞こえ方、感じ方の違いによるものが多いことを、理解することができました。また、当事者が安心して過ごせるように、当事者を変えようとするのではなく、周りの環境や大人の接し方を変えることが大切であることも学ぶことができました。
午後の講義では、思春期以降の特性理解と支援についてお聞きしました。当事者も保護者も、社会に上手く適応できないことに不安を抱えていることや、多くの失敗を重ねて、自信を無くしてしまうケースが少なくないことをお話しいただきました。また、本人が理解できるような言葉に噛み砕き、文字に書いて伝えるなどすることで、不安を少しずつ減らしたり、ロール・プレイングなどを通して自信をつけたりすることで、豊かな人生を送ることができるようになった事例をお聞きしました。
自閉スペクトラム症の特性や、当事者の気持ちを理解し、寄り添うことが、子ども達の自立につなげていくために大切であることを改めて学ぶことができました。
・多くの事例や具体的な支援方法を提示していただき、失敗談も盛り込みながらのユーモア溢れた講義に引き込まれました
・普段は幼児とかかわっていますが、どのように気持ちが成長して大人になっていくのか、具体的にイメージができました
・ふざけていると思っていた子どもの言動が、本人にとっては悪気のないものであったと分かりました。
・見通しを持たせることに力を入れてきたつもりですが、それがこちらの一方的な押しつけになっていなかったか、反省させられました。
まず、県高校教育課の田上主任より、「地域で学び育てる特別支援教育モデル事業」の概要を説明していただきました。
次に実践発表として、県内5つの特別支援学校における居住地校交流の取組を発表していただきました。各学校の発表では、「双方にとっての学びの場となるための目標設定の在り方」「相手校との入念な事前打ち合わせの必要性」「共同学習のための合理的配慮の工夫」などについて、特別支援学校と相手校の双方の学びの様子を交えながら、詳しく発表していただきました。
その後、発表者の先生方をパネリストとしてパネルディスカッションを行い、
取組の成果や課題についての情報交換、討論を行いました。フロアからの発言もあり、活発な意見交換を通して全員がより深く考える機会となりました。
・交流及び共同学習やインクルーシブ教育について、意義や方向性を改めて考えることができました。
・合理的配慮の具体例を知ることができました。今後の実践の参考にしたいと思います。
・事前打ち合わせの充実や児童生徒に合わせた日程作りなどの大切さを学びました。
・打ち合わせの段階から、事前(出前)授業、交流当日、その後と、どういうことを意識しながら進めていくとよいかについて勉強になりました。
・パネルディスカッションでは、小学校や特別支援学級の先生方の思いを聞くことができて、とてもよかったです。
関西学院初等部副校長村田辰明氏の講義では、授業のユニバーサルデザイン研究会が公開している「授業のUD化モデル」をベースに、村田氏が授業を実践する中で大切にされていることや、そのポイントをお聞きしました。「時間の構造化」のお話では、実際に授業で使用した画像を用いてミニ授業を行っていただきながら、授業を展開する上での配慮事項や、その展開の中で考えられる「視覚化」「焦点化」「共有化」を具体的に学ぶことができました。
・普段の社会科の授業で何となく大切だと感じていたことを整理することができました。
・社会科で身につけさせたいものの見方・考え方や、どの子にもわかる楽しい授業をするための資料の使い方、発問方法、子どもの反応への対応など、どれも参考になりました。
・視覚化などについて本で読んだことはありましたが、スピードややりとりの部分を実際に感じることができました。
プール学院大学教育学部教育学科准教授である松久眞実先生から、午前中は、通常の学級における気がかりな子の指導・支援について講義をいただきました。特に、本人が伸びること以上に、「まわりの子どものソーシャルスキルを向上させる」ことの大切さを強調されました。例えば、リフレーミングの技法を日記やスピーチに取り入れて、マイナスな出来事をプラスにとらえ直すことが示されました。また、カードのように一目で分かる視覚支援を用いて、教室の中に静寂の時間を増やすことが示されました。
また、午後の講義では、保護者への対応や支援について講義をいただきました。特に、年度初めに「保護者からの信頼を得る」ことが、保護者との関係づくりの基礎となることが示されました。例えば、初回の家庭訪問までに子どもの情報(いいところや気になるところ等)を集めることで保護者との会話が弾むことが示されました。また、学級懇談会や学級通信で担任の方針(こんなときに叱ります等)を伝えることにより、保護者に見通しを持ってもらえることが示されました。これからの実践に役立つ具体的な方法をたくさんご紹介いただき、充実した研修となりました。
・具体的な教材や事例をたくさん紹介してくださり分かりやすかったです。
・教員や保育者の思いを汲み取ってお話しいただいたので、励ましていただいた気がします。2学期から元気に仕事をがんばりたいという気持ちになりました。
・気がかりな児童や保護者への対応は普段から悩んでいたことだったので、役立つスキルを教えていただき、大変勉強になりました。
・子どもや保護者とついつい同じ土俵に立ってしまい、相手の気持ちを興奮させたり、関係を悪化させたりしていたことに気付きました。
・認知のゆがみを正していくリフレーミングのお話が興味深かったです。ぜひ実践してみたいです。
・静寂の時間の大切さ、音が音を呼ぶことが分かりました。2学期からすぐに実践したいです。
・学級全体への働きかけ、学級全体を育てることの大切さを学びました。
・保護者がなぜそういう行動に出るのか、違う視点から理解でき、今後の対
応の参考になりました。悩んでいた心も少し軽くなりました。ぜひ実践に
生かしたいです。