平成30年度 福井県特別支援教育センター 研修講座一覧

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H30 研修講座

研修講座

No.12  発達障害のある子どもたちが力を発揮する学校に変えるために

                      -合理的配慮から個別の教育支援計画作成まで-  

実施日

平成30年8月22日(水)10:00~16:00

会場

福井市きらら館

講 師

長野大学
准教授  高木 潤野

講師紹介
東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科修了。博士(教育学)、臨床発達心理士。日本緘黙研究会事務局長。都立養護学校自立活動専門教諭(言語指導担当)。小学校きこえとことばの教室(通級による指導)、東京学芸大学非常勤講師等を経て、現職。専門は、言語コミュニケーション障害。主な著書:「学校における場面緘黙への対応」(学苑社)、「新しい特別支援教育のかたちインクルーシブ教育の実現に向けて 11章情緒障害者に対する教育的支援」(培風館)
受講のポイント
発達障害の1つに「場面緘黙(選択性かん黙)」があります。多くは早期からの適切な対応によって症状を改善させることが可能ですが、不適切なかかわりによって症状が悪化したり、長期化してしまったりするケースも少なくありません。本講義では最新の知見と、学校における具体的な対応について学びます。
参加者
156名
講座概要
午前は、長野大学 准教授 高木 潤野 氏から、「場面緘黙の理解と個別の教育支援計画作成のためのアセスメントの視点」として、場面緘黙の最新の知見やアセスメントの基本的な考え方についてご講義をいただきました。場面緘黙とは、”その子らしさ”が学校などの社会的状況によりできなくなってしまう状況であること、支援のゴールは”その子らしさ”を発揮できるようになること、などについて説明がありました。
アセスメントの視点として、家庭との連携が必要であることやその子を取り巻く環境を捉えること、本人の思いを丁寧に聞き取ることなどが挙げられました。最も大事なのはその子の「思い」や「願い」であり、「できないことをできるように」ではなく、「家でできることを学校でもできるようにする」ことであると話されました。
午後からは、「合理的配慮や具体的な対応の仕方及び心理療法的なアプローチ」として、園や学校での合理的配慮やコミュニケーションのとり方、具体的な介入の方法などについてご講義をいただきました。場面緘黙の子への合理的配慮を考えるための視点として、必要な配慮や支援は一人ひとり異なること、対話による合意形成が不可欠であることなどが挙げられました。「場面緘黙の子が安心できる環境は、他の子にとっても安心できる」として、物理的な環境設定の工夫や見通しを持ちやすい安心できる学校生活について説明されました。
関わり方の基本としては、まずは筆談や身振りや表情を活かすことにより、コミュニケーションをとることが大切であると話されました。配慮点として、選択肢から答えることや交換ノートの活用、話しやすくするための手がかりを用いることなどが挙げられました。また、苦手なことに少しだけチャレンジする「イクスポージャー」という考え方にも触れ、スモールステップで「次の一歩」を確実に成功させるアプローチの方法の紹介もされました。
最後に、グループごとに具体的な支援計画を考える事例検討が行われました。目標を考える、「次の一歩」を考える、期間を決めて挑戦する、振り返るという流れをPDCAサイクルで行っていくことが大切であると御講義を締めくくられました。
備考
右下の「詳細を表示」をクリックすると講座の概要,当日の様子(写真),参加者の声等が表示されます
参加者の声
・場面緘黙に関しての理解が深まりました。具体的な事例を多く紹介していただきながらの講義だったので、イメージしやすかったです。
・本人の思いや家庭での様子、友達とのかかわりなどを丁寧にアセスメントし、目指すべきゴールを設定し、支援していくことが必要であることを学ぶことができました。
・場面緘黙の子の苦しさを感じ取り、その子の立場に立って考えていきたいと思います。
・場面緘黙の子が安心できる環境は、他の子たちにとっても安心できるとのお話をお聞きし、今のクラスの環境を改めて見直していきたいと思いました。