平成29年度 福井県特別支援教育センター 研修講座一覧

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H29 研修講座

研修講座
No.7  脳科学から考える発達障害
     一医療現場から見えた支援のポイント
実施日
平成29年6月21日(水)13:00~16:00
会場
ユーアイふくい
講 師
福井大学 子どものこころの発達研究センター
教授  
小坂 浩隆 
講師紹介
福井医科大学(現福井大学)。医学博士。福井医科大学精神医学教室に入局後、福井医科大学大学院、福井県立病院心身医療科などを経て、平成17年より福井大学医学部精神医学助手・助教。平成24年より福井大学子どものこころの発達研究センター特命准教授、平成26年より現職。現在は、MRIを用いて脳機能画像を解析し、安静状態の脳活動パターンが自閉症スペクトラム傾向に関与している可能性について研究中。また、二次障害に伴う不登校やひきこもりなどの問題行動や就労支援についての講演活動にも携わっておられます。
受講のポイント
発達障害をもつ子どもの行動について、脳科学の側面から考えます。実際の症例を踏まえながら、子どもに必要な支援や効果的な指導方法について学びます。
参加者
91名 
講座概要

福井大学子どものこころの発達研究センター教授の 小坂 浩隆 氏から「脳科学から考える発達障害」について、ご講義をいただきました。

前半は、ADHD、自閉スペクトラム症などの発達障害の中核症状について実際の症例や映画の登場人物を例に挙げながら、ユーモアを交えて詳しくお話いただきました。また、心を知るということは脳を知ることであり、脳のどの部位が損傷しているかによって現れる症状が異なることや、脳を見ていくことで発達障害を理解しやすくなることについても、お話しいただきました。さらに、男性脳、女性脳の違いについても解説していただきました。男性脳は、物事の動きを理解し、予測する手段に適している、つまりシステム化するのに長けている特徴があり、この男性脳の特徴がさらに強められると、自閉症の脳の特徴に近づいていくという、「極端男性脳理論」についても言及されました。これは『真水に入れられた海の魚』に例えられ、環境に順応しにくい自閉症の生きづらさを理解することが大切である、と話されました。

  後半は、発達障害への脳科学的アプローチとして、小坂先生が大学で研究されていることについてお話しいただきました。定型発達者と自閉症の脳を比較する検査や脳の働きを調べる検査によって、自閉症者は、視線を合わせても相手の表情を読み取ることができないことや、自分と似た人には共感性をもつということが明らかになったと解説されました。まとめとして、定型発達者と発達障害者に明確な区切りはなく、得意なこと、苦手なことはそれぞれであること、発達障害者を支援していくには、彼らの得意な面を伸ばすことに力を注ぎ、生きやすいように環境を調整していくことが大切であると、ご講義を締めくくられました。
備考
右下の「詳細を表示」をクリックすると講座の概要、当日の様子(写真)、参加者の声等が表示されます。
参加者の声

・発達障害を脳科学の側面から分かりやすく解説していただき、とても理解がまりました。生きにくい環境にいる発達障害の子どもたちの環境調整をすることが、私たちの使命であると痛感しました。

・発達障害に対する考え方が変わりました。科学的見地に立った説明は保護者に対して説得力があり、信頼を得られると思いました。子どもへの適切な支援にもつながると思います。

・「人は自分の愛情の器からあふれた分だけ、人に愛情を与えることができる」の言葉に納得しました。生徒の愛情の器を少しでも増やせるような指導をしたいと思いました

LDに関しては、早期に医療機関を受診することの大切さを再認識できました。

 ・発達障害について、学校で新しい見方を伝達できそうです。教職員で話し合い ながら、支援について見直していきたいです。