令和3年度 福井県特別支援教育センター 研修講座一覧

お知らせ

令和3年度の研修講座は、終了いたしました。
たくさんのお申込と、開催に当たってのご協力をいただき、
ありがとうございました。

昨年度以前の研修講座の報告


  
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R3研修講座

研修講座
No.1  思春期・青年期における支援
実施日
令和3年7月27日(火)13:00~16:00
実施方法・会場
Microsoft Teams
講師
島根大学
教授 岩宮 恵子 
講師紹介
島根大学こころとそだちの相談センター長兼務。臨床心理士、公認心理師。現在もスクールカウンセラーとして学校にも関わっている。主な著書:「生きにくい子どもたち-カウンセリング日誌から-」(岩波現代文庫)「フツーの子の思春期-心理療法の現場から-」(岩波書店)「好きなのにはワケがある-宮崎アニメと思春期のこころ」(ちくまプリマー新書)
受講のポイント
思春期とはどういう時期なのか、現代の思春期の子どもたちを取り巻く環境について学ぶとともに、事例を通して思春期の子どもたちの人間関係におけるストレスやSNSのトラブル、支援のあり方について考える。
実施要項2
講義資料①
講義資料②
参加者
65名
講座概要

島根大学 教授の岩宮 恵子氏から、前半は「思春期とは」「思春期の子どもたちを取り巻く環境」、後半は「思春期の子どもたちの抱える課題」「思春期の子どもたちへの支援のありかた」について、ご講義をいただきました。

   前半の講義では、神話のアマテラスとスサノヲを、「傷つきやすいよい子」と、「衝動性が高く自分の感情に嘘をつけない子」に例えながら、子どもは場の状況が変わることで違う力が引き出されることがあり、問題行動という一つの側面だけで子どもを決めつけてはいけないことを教えていただきました。また、人間の脳は、感情を司る大脳辺縁系よりも、抑制力を司る前頭葉はゆっくり発達するため、思春期はそのバランスが崩れ、やりたいことはできてもやるべきことができない状態になることなどを学びました。思春期の子どもの脳がどのように発達しているのかを知り、前頭葉を育てるためにも、根気よく冷静に思春期の子どもたちに対応していくことが大切だということも教わりました。

後半の講義では、SNSの発達による子どもたちを取り巻く環境の変化についてのお話をお聞きしました。

・SNSによって人間関係が常時接続状態にある。

・不安が強くなりがちで、誰ともつながらないときの孤立感や不信感、嫌な感じが生じやすい。

・思春期特有の自己抑制力の弱さゆえに、自分の行動や言動を律することができないため、SNSによって生じた感情がトラブルにつながってしまう。

・自分や自分のしたことが、SNSによってすぐに評価されるため、とても刺激的で、思春期心性がくすぐられる。SNS上では大人と子どものボーダーがなくなる。

・SNS上では、思考が反射的になり、深く考えることが奪ってしまう側面がある。ICT教育に重点が置かれている昨今、深く思慮していく力を子どもたちにどのように育んでいくのかが課題になる。

最後に、子どもたちの心を育むためには、誰とも交流しない時間が必要であり、本当の信頼感とは、人と会っているときの感覚を、会わないときにも心の中で感じることができたときに生まれるものであることを学びました。そして、このような環境の中にいる子どもたちを支えるためには、私たちは成果や結果がすぐに出ないことに耐え、子どものことをもっと知りたい、自分のことを知ってほしいと思い続けることが大切であることを知りました。「薬よりも人ぐすり」という言葉で、講義は締めくくられました。

備考
右下の「詳細を表示」をクリックすると講座の概要,当日の様子(写真),参加者の声等が表示されます。
参加者の声

・脳科学的な観点と思春期の子どもたちを取り巻く環境とが影響し合って起こる思春期の問題について学ぶことができました。

・思春期に入ったと思われる児童の対応に困った1学期でしたが、講座を受講したことで、「自分からは言い出せないけれど、大人に聞いてほしい悩みがある」「自分に注意を向けてほしい」という思いがあったのだろうと気がつきました。担任として児童と向き合ってきたつもりですが、もっと親身になって2学期は向き合っていきます。

・SNSの登場で、人間関係が常時接続状態にあり、多重構造のコミュニケーションが生まれています。しかし、心を育むためには、誰とも交流しない一人の時間が必要であることが印象に残りました。

・現代を生きる思春期の子どもたちの逃げ場のない生きづらさや、人間関係に気疲れするしんどさを、ありありと想像することができました。しかし、人と人とが対話をすることが、違いを尊重することとなり、最終的には自己肯定感をもたらすというお話が最も印象的でした。多忙な状況にあっても、「関心」という愛を相手に与え続けられる人間であり続けたいと強く思いました。


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